山田貢について
1. 山田貢とはどんな着物作家?
1912年に岐阜県で生まれた山田貢は、糸目友禅の達人として知られる重要無形文化財保持者(人間国宝)です。彼の作品は伝統的な技法を尊重しつつ、大胆な構図と繊細なデザインが特徴であり、友禅界において独自の地位を築いています。
2. 糸目友禅の達人だった山田貢
糸目友禅は、糊を用いて輪郭を描き、色彩を際立たせる友禅染めの一技法です。山田貢はこの技法に長け、師匠である中村勝馬の影響を受けながらも、自らのスタイルを築き上げました。彼の作品は、繊細な線と豊かな色彩で、日本の伝統工芸に新たな息吹をもたらしました。
3. 山田貢の作品紹介
友禅染着物『夕凪』: 1977年に制作されたこの作品は、能装束の「鱗文」から着想を得た三角模様が特徴です。日本工芸会賞・奨励賞を受賞しています。
点糸目糊揚着物『麦』: 1978年の作品で、糸目技法を駆使した麦の柄が特徴。豊作を連想させるデザインが魅力です。
せき出し友禅屏風『巴水文』: 1979年に制作された屏風で、魚の模様が鮮やかに描かれています。
点連糸目友禅着物『黄映』: 1984年の作品で、夕日のような色合いに三角模様が繊細に描かれています。中村勝馬へのオマージュが感じられる作品です。
山田貢の生涯と業績
生年: 1912年、岐阜県生まれ。
経歴: 14歳で中村勝馬に師事後、1947年に独立。日本工芸会正会員となり、1971年から1979年まで東京藝術大学美術学部で非常勤講師を務める。1984年に人間国宝に認定され、2002年に逝去。
山田貢は、その卓越した技術と芸術性で知られる友禅染めの巨匠です。彼の作品は、日本の伝統工芸に新たな光をもたらし、友禅界において重要な役割を果たしました。彼の生涯と業績は、日本の染織文化において貴重な遺産として残されています。